12月14日(金) 晴れ

『5人の王』が売れた。コミックス1~3巻のまとめ買い。品出しして3日ほどで動いたので、棚をよく見ている常連さんが買っていったのだと思う。それなりに考えて棚を作ってるつもりだけど、それとは別に純粋に趣味で置いた本が売れるのは嬉しい。担当の趣味をどこまで出していいのかは、いつも思い悩む事柄ではある。

出勤して最初の1時間は『このBLがやばい!』に関連する発注で血眼だった。出遅れた分を取り戻そうと必死だったので、全方位に愛想が足りなかったと思う。反省。『ラムスプリンガの情景』は平台に積んでた頃は全く動かなかったのに、ランキング1位になってから一瞬で売れた。損切りして返してしまったけど、1冊残していたのが幸い。自分で読んで内容が良いことは判っているので、安心して追加の発注をかける。個人的に吾妻香夜は女性よりもゲイの男性読者に受けそうな絵柄な気がして、『ラムスプリンガ』は内容もハイコンテクストなので売り方が見えなかったのだけど、『このBLがやばい! 2019年度版』でランキング1位という安直な文脈ができて売りやすくなった。うちの店ではこういう作品はあまり受けない。何故かはわからないが、ストーリーが重すぎる作品はきっと敷居が高いのだと思う。読み始めるのにパワーがいる。同様に座裏屋蘭丸の『リカー&シガレット』も動かなかったので、『このBLがやばい!』の販促効果に期待。しばらく注視を継続する。

今日は休憩までが忙しい一日だった。体調もあまり良くはなく、終始お客さんに愛想よく出来なかった。休憩時間に読んだ『バカな犬ほど愛おしい』がよかったので、少しだけパワーを充電できたような気がする。勤務後半は自分の時間が取れたので、新刊チェック。配本外のタイトルを各種サイトで試し読みしながら、良さそうなものを何点か注文した。全国ランキングでおおまかなトレンドはわかるが、売り上げを作るという観点ではあまりアテにはならない。最終的に頼れるのは「自分の勘」という、あいまいなことしか言えない。たくさん商業BLを読んで、選別眼を養っていきたい。

土日でたくさんお茶が飲めることを店長に自慢して、店を出る。ここ数日で一気に冷え込むようになった。

ところで、この日記は日をまたいで書いている。夕方に出勤して、23時半に帰宅するという生活をしていると、おおよそその日のうちに日記をつけることはできない。こういうタイムスケジュールも、いまの仕事をやめるときっと変わってしまうのだろう。書店員をやめた未来の自分を読者だと想像して、「考えたこと」が思い出せるように、文章を書くことにする。