1月18日(金) 晴れ

今日からまた本屋のお仕事。お店のシフトに入っていなかった三日間の売上をチェックするが、思うように売れてなかった。「このBLがやばい!」に関連して展開した棚差しが動かず、少なくとも常連さんには全くリーチしていないことがわかったので、早々に切り上げて棚を入れ替える決意をする。中途半端にやったのがよくなかったみたい。

年末に注文していた補充品がぽつぽつ届き始めてそれなりの量がたまっていたので、作業時間までレジ内で試し読み本作りなど、できる作業から取り掛かっていく。とりまバンブーコミックスQpaの新刊だけ品出しさせて貰って、残りはレジを打ちながら淡々と準備を進めた。

それはそれとして、自分が店を空けている間に店長が喉風邪を引いてしまったそうで、見た目からして体調がよくない。ゴホゴホと咳き込んでいるのが苦しそうで、あまり負担を掛けないように見守りながら(?)レジ番をした。

休憩時間は、店着していた田中森よこたの『ところで今は何番目でしょうか。』を読んだ。これは素晴らしい。最初から最後まで受けちゃんが超絶乙女で、胸がきゅんきゅんしっぱなしだった。遊び人で取り巻きが多い攻めのことを一途に思うがあまり、「沢山いる恋人のうちの一番最後でもいいから、恋人にして欲しい」という受け。自己肯定感が低いと「何番目でもいいから愛してほしい」というスタンスになってしまうのは、個人的にとても共感できてしまう。都合よく遊ばれているのはわかっているのに、それでも愛してほしいし、たとえ抱かれている間だけでも、私のことを見ていて欲しい。寝ても覚めても好きな人のことをずっと考えてしまって、ひとときも頭から離れない…。そんな受けちゃんの心境に思わず自分を重ねてしまって、ガチ泣きしてしまった。しかし、この物語の受けちゃんが私と違うのは、独占欲にのまれても徹頭徹尾攻めを立てる行いに終始するところだと思う。気が弱くて乙女だけど、人間ができている。受けちゃんがあまりにも自分の気持ちを攻めに吐露できないので、「受けちゃんやったね! 自分の気持ち、ちゃんと言えたね!」って応援しながら読んでいました。

最後まで読了してしばし余韻に浸ってから、売り手の目線に戻って考える。本作は可愛くてぷにぷにした絵柄で、受けちゃんの体が絶妙にだらしないのがエロい。絵柄の可愛さとエロさが同居している点は地味にすごいのだが、その反面表紙が物語の雰囲気と合ってないかなと思った(気になる人は各自検索してください)。エロに振るより、綺麗目の表紙のほうが届くべき受容層に届きそう。作中から「この優しい手に ぼくは 恋をしてしまった」という言葉を拾って、簡単なポップを書くことにした。

休憩からあがって、しばらく売り場に出してもらう。冒頭にも述べた通り、大掛かりな手入れを行った。平台は、「このBL」関連の本を外して、7タイトルを入れ替え。『ところで今は何番目でしょうか。』のとなりに『都合のいい女』を置いて、セックスフレンドをテーマにした異なるアプローチの二作品が相乗効果を生むことに期待したい。他には補充品が店着した『25時、赤坂で』、試読して4冊入れることを決めた『今日も君にごちそうさま』、気色を変えて実験的に『堅物オヤジとチャラ男くん』と『セックススーツラブバトル』、などなど。平台は本当に何が売れるかわからないので、尖ったラインナップで攻めてみる価値はある。

棚は、欠品していた『5人の王』の小説ⅡとⅢが入荷したので補充。「このBL」ランクイン作品を撤去して、バランスを調整しながら既刊新着品を差した。遠藤巻緒の『MELONSODA』が一冊しか入ってこなかったが、個人的な神推しタイトルなので面で展開する。売れて欲しい。

自分の仕事をひと通り終えた後は、レジ内でひたすらカバー折り。黙々とカバーを折っていると、日常に回帰したことを実感する。私はこのままでいいのだろうか。